祖父とご神木。①

私が生まれたくらいに母方の祖父は亡くなりました。
母自体も祖父とそこまで縁が深くなかったので、ほとんど情報がありませんでした。
ただ子供の頃に聞いてずっと記憶に残っていた事がありました。

「ご神木を切ってからおかしくなった。」

祖父は村一番の働き者の木こりだったそうです。誰も祖父についていけないほど仕事ができたそうです。
ある日、村の人が止めたにも関わらずご神木を切ってしまったそうです。

皆さんが思い浮かべるしめ縄がしてある分かりやすいご神木では無く、山に昔から何百年とある大きな木だったのだと思います。そういう大きな木がたくさんある地域でした。

祖父はご神木を切った日から全く働かなくなったそうです。もぬけの殻というんでしょうか。ずっと寝たきりのような状態で、近所の人がそれを見かねて切られたご神木のところへ小さな木の苗を植えに行って謝りに行ったそうです。そこから少しだけ祖父が動けるようになったそうですが、全く働かないまま、母も近くの小学校にたまに選挙の投票に出掛けるのを見たぐらいだったそうです。

私自身もその障りが自分の家系にも影響を及ぼしているのを自覚したのは、今から10年以上前の友達に紹介して貰って視てもらった霊能者の方に相談していた時でした。
それまではただどうしようもない親子関係とどうしようもない辛さに苦しんでいるだけで対処の方法も思いつきませんでした。

そこでアドバイスを貰ったのは可能であればその切ってしまったご神木と同じ種類のご神木に謝ることでした。ただ母もそれは知らず、誰も知らず、手当たり次第、見かけたご神木に謝っていました。
そのうち母の里の方にも出向いていろんなご神木に謝っていました。自宅から車で三時間以上かかるのですが、時間が取れれば毎日のように謝りに行きました。それぐらい取返しのつかない間違いをした事に心から申し訳無かったのと、取り込まれてしまって成仏できないままの祖父のことが気がかりでした。

後日、霊能者の方から切られた木のところに行って、お米、お塩、水、お酒、榊を備えて簡易的な祝詞を言って謝った方が良いことを教えてもらいました。魔除けに麻で作られた物を身に着けると良いですよとも教えて頂きました。その場所へ行く前日、母の里の大きい山の神様のところに水を汲みに行き、経緯もお話して、いつものご神木のところに何か所か謝りに行こうと思った時に、前に行こうとして辿り着けなかったご神木のことが物凄く気になりヘトヘトの身体を震い立たせて謝りに行きました。

見るなり、この木だと思いました。祖父が切ったご神木の種類と同じだと思いました。
そのご神木から伝わってきた耐え難い悲しみに、私自身も命を持っていかれるのではないかと思うほど号泣して苦しみました。
こんな思いをそれこそ百年近く神様にさせていたのかと思ったら辛くて悲しくて申し訳なくて死んでしまいそうでした。

続きます。

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